職業で歯科検診を受けた労働者は、歯科受診による欠勤が少ない傾向 - スタッフブログ

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2023/08/12
職業で歯科検診を受けた労働者は、歯科受診による欠勤が少ない傾向




院長の小川です。 今回も興味深いニュースをご紹介致します。 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 健康推進歯学分野の増子紗代大学院生、財津崇助教、相田潤教授の研究グループは、職場における歯科検診が歯科受診による欠勤日数の減少と関連することを明らかにしました。 病気やその治療による欠勤は、仕事の生産性を低下させ、世界的に重大な問題となっています。歯科疾患は成人で罹患している人が多いため口腔の問題による欠勤は、すべての病気による欠勤の9.06%~26.7%を占めると報告されています。職場での歯科検診は、定期的な口腔スクリーニングや健康教育の機会を提供し、欠勤を減少させると考えられます。しかしながら、職場における歯科検診と欠勤の関連は十分に検討されていませんでした。 本研究は、2017年3月にオンライン自記式アンケート調査を実施しました。3,930人(男性2,057人、女性1,873人)の労働者(平均年齢43.3±11.7歳)のうち、職場で歯科検診を受けた人は歯科医院受診による欠勤日数(仕事を欠勤・早退・遅刻して通院した日数)が少ない傾向にありました。過去1年間の歯科医院受診による欠勤日数は、歯科医院で歯科検診を受けた人で0.57±2.67日、職場で受けた人で0.21±1.20日でした。共変量で調整した結果、職場で歯科検診を受けた人は、歯科医院で歯科検診を受けた人よりも欠勤日数が0.35日(95%CI、0.12-0.58)少なくなりました(図)。以上の疫学研究の結果から、歯科検診の実施場所が欠勤の重要な因子であり、関連する変数を調整しても職場で歯科検診を受けた人は、歯科医院で歯科検診を受けた人に比べて、歯科受診による欠勤が少ないことが明らかになりました。 本研究の欠点として、歯科医院で検診を受けた人の中には、歯科疾患の治療で受診をしたため欠勤が多い可能性があります。しかし、職場で歯科検診が提供されている場合、健康教育や歯科疾患の早期発見・早期治療により、欠勤が少なくなる可能性があります。成人は歯周病やう蝕を有する人が極めて多く、国全体の65歳以下の歯科医療費は、がん、循環器疾患、呼吸器疾患、糖尿病や精神疾患のそれぞれの医療費よりも大きい状況です。今回の研究から、歯科検診を職場で提供しても、欠勤日数の改善があるため、職場での負担は大きくない可能性があります。産業保健や健康経営の中に歯科保健を入れていく一つの論拠に今回の結果はなると考えられます。 いかがでしたでしょうか。 やはり、定期健診は大事ですね。

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