院長の小川です。 良くテーマにしている歯ぎしりについてお話させて頂きます。 虫歯や歯周病などはふだんから気にかけている人が多いのですが、見落としがちなのが寝ている間の『歯ぎしり』です。 特に、歯茎が弱ってきている中高年以降は歯ぎしりを放っておくと、歯周病を悪化させたり、知覚過敏の原因になったりもします。悪化すると、歯の神経まで刺激して、最悪、歯を失うことにもつながります。 そもそも、寝ている間の歯ぎしりはなぜ起こるのでしょうか? 歯ぎしりの原因は非常にたくさんあります。ストレスなど心因性のものもありますが、上の歯と下の歯のかみ合わせの悪さからくることも多いです。 歯は本来、正しくかみ合う位置というのが決まっていて、その位置が少しでも狂うと、脳は『きちんとかみ合う位置を探さないと』と、寝ている間に無意識に顎をスライドさせて位置を探ることで、歯ぎしりが起こるそうです。 かみ合わせのズレは50ミクロンという、コピー用紙約2枚分ほどの小さなズレが起こるだけでも、脳が異常だと感じてしまい、歯ぎしりを助長してしまうというのだ。 「つまり、虫歯で歯が削れていたり、歯周病などで歯を失っていて、何ミリものズレが生じていると、高確率で歯ぎしりをしてしまうのです」 また、就寝中の歯ぎしりは、強い力で歯を削っていくという。 人間のかむ力は、普段の食事では10~20kgの強さ。それが、就寝中の歯ぎしりではフルパワーのかむ力が発揮されてしまうといわれていて、自分の体重と同じくらいの圧を歯にかけているんです。 そんな歯ぎしりを放っておくと、歯の表面がすり減ってしまうことで力をうまく受け止められなくなり、歯の付け根がダメージを負い知覚過敏などの症状も出てきます。 寝て起きたときに顎が疲れている人は、歯ぎしりによる顎関節へのダメージが原因の場合が多く、要注意なんです。 自分が歯ぎしりをしているのか、自宅で簡単にできるチェック法があるります。 アイスクリームを食べた後に残る『木の棒』でセルフチェックができます。左右片側ずつ奥歯に棒を挟んで、かみ跡が残るくらい強くかんでください。 その際に、顎のあたりに痛みが出たり、右側はかみにくいな......など違和感を覚えたら、歯ぎしりで歯や歯茎、顎がダメージを受けている証拠なんです。 歯ぎしりの予防に効き、ダメージを受けた顎の疲れをとるマッサージがあるそう。 『下関(げかん)』という耳たぶの付け根から指4本あけたくらいの位置にある頬のくぼみと、奥歯をかんだときに一番出っ張る下顎の骨の頂点にある『頬車(きょうしゃ)』というツボを親指で押し込んで刺激するマッサージがおすすめ。 歯ぎしりによる筋疲労が出ている場合は、少し強く押しただけでも、痛みを感じるはず。マッサージをするごとにイタ気持ちいいくらいに変化すれば、痛みがほぐれ、歯ぎしりの予防にもつながります。 セルフケアも大事ですが、歯ぎしりが長く続いている人は、手遅れになる前にまず歯科医の受診をしてチェックしてもらって下さい。